犬の散歩で毎回通る道の途中に「気になる木」がある。

それは、あるお宅の玄関先に植えられている一本の柑橘の木。

実の大きさから見ておそらく「夏みかん」か「甘夏」ではないかと思うが正確にはわからない。

冬のまだ寒〜い1月2月ごろから鮮やかなオレンジ色の実をつけて、色彩乏しい景色の中で一際目を引く木なのだ。
すでに5月。実の数も木にはほとんどなくなって今は白い花が咲いている!!
甘夏だとしたら3月〜5月頃が美味しさの旬だ。
夏みかんかもしれないのに、勝手に甘夏だと思ってあれこれ思いを巡らせている。

この実は食べられるのだろうか?食べられたとして美味しいのか?酸っぱくて食べられない??マーマレードを作ったらどうだろうか?農薬使っているだろうか?などなどなど・・・。
いつも眺めながら考えてしまうのだ。

目立っているから気になるのもあるが、もう一つ理由がある。

私は甘夏が大好きだ。
昨年から私の中で一押しの果物といえば「甘夏」になっている。

大きなみかんに抱きつく女性とお散歩途中のダックスフンドを描いたイメージイラスト

なぜ「昨年から」なのか。

「甘夏」は昔からある柑橘類ではあるが、子どもの頃食べた思い出はあるものの、当時大好きな果物、というわけではなかった。近年、いや10年以上、もっとかもしれない、それくらい食べていなかった。

それを食べるきっかけとなったのは、あるポッドキャストの料理番組で甘夏のマーマレードをテーマとしたトークを聞いたのがきっかけだった。 それまでマーマレードを手作りしたこともない私だが、番組で作り方の工程をを聞いていくうちに、無性に作ってみたくなった。

マーマレードは果肉はもとより果皮も使うので農薬を使ったものは避けたい。
それならば産直で!とnetで探し自然栽培で甘夏を作っている農家さんよりお取り寄せしてみた。

まずは作りやすい量、甘夏3個で。
実大きさにもよるが、この量でジャムメーカーさんの小ぶりの瓶3個か4個分はつくれる。

3つの柑橘類を鼻の上に乗せて歩いているダックスフンドのイメージイラスト
ダックスと甘夏

皮と果肉に分けるのだが、ジュワっとみずみずしい果肉にちょっと味見を、と一房頬張ってみたら・・・、「うんま!!甘夏ってこんなに美味しい柑橘類だったっけ!!!」と嬉しい衝撃を受けた。

今やスーパーでも沢山の種類の柑橘類が出回っていて全ての品種を食べたわけではないが、 糖度の高いものは多いけれど、キレのある酸味を併せ持つ柑橘類が少なくなったように思っている。

一般的には甘みは求められ、強い酸味は敬遠されがちなのだろうか・・・。酸味こそ柑橘類の魅力なのにぃ、となかなかしみじみ美味しい!!と思うミカン類に出会えないでいた私に、この甘夏は久々の感激の柑橘系果物だった。
ジューシーな果汁、キリッとした酸味を感じつつもコクのある甘みとの絶妙なバランス、そしてほんのり感じるほろ苦さに大満足。

マーマレードを作るためにむいた果肉をあまりの美味しさにパクパクが止まらず気がつけば半個分食べてしまったほど。

この事がきっかけで私は「甘夏」押しになったのだ。
そんなわけで、何年も前から通る道で目にしていた「木」なのに、今更気になりだしたのは産直の甘夏を食べてからのこと。

あんなに美味しい甘夏の木が自分の家にあったら幸せだろうなぁぁぁぁ。毎年収穫の季節を待ちわびるようになりそうだ。羨ましい限りだ。と完全にあの木を甘夏として眺めている私である。

お家の人が庭先にいれば、「このみかんの種類は何ですか?」とたずねたいところだが、そんなタイミングもなく、わざわざピンポンするのも怪しい人に思われそうなので、未だ謎なのまま。

あれこれ甘夏を思い描きながら考えるのも楽しいので、種類は謎のままでも良いかな。

気になっている割に香りを意識していなかった事に今更気づいた。
柑橘類の花の香りはとても良いと聞いている。
今、まさに気になる木には白い花が咲いている。こそっと木に近ずいてマスクをずらしてくんくんしてみたが、どうもあまり感じない(涙)鼻の調子が悪いのか・・・。
次回、もう少し近ずいてくんくんしてこよう。

お家の人に怪しまれませんように。

赤白チェック柄の布の上に置かれた3つのマーマレードの瓶を描いたイラスト
今年の手作りマーマレード